イ ミニョン選手が史上最長7ホールPOを制覇、勝敗を分けたのは「パーオン」──ニチレイレディス2026をデータで総括
袖ケ浦は“3日間ずっとグリーンを捉える精度”のコースだった。王道で勝った優勝者と、別解で並んだ18歳。
ニチレイレディス2026は、通算-13に3人が並ぶ大混戦の末、イ ミニョン選手が史上最長となる7ホールのプレーオフを制して優勝した。2時間を超える死闘。最終日に「63」を叩き出した精度が、最後にものを言った。
| 最終順位 | 選手 | 3日間 | 通算 | 賞金 |
|---|---|---|---|---|
| 優勝 | イ ミニョン選手 | 70-70-63 | -13 | 1,800万円 |
| 2T | 吉﨑 マーナ選手 | 70-68-65 | -13 | 790万円 |
| 2T | 大出 瑞月選手 | 70-68-65 | -13 | 790万円 |
| 4T | 政田夢乃・木戸愛・藤本愛菜・荒木優奈 各選手 | – | -12 | 462.5万円 |
初日・2日目と首位を走った荒木優奈選手は、最終日「71」と伸ばしきれず-12のT4。スコアの出る一日に、追う側がまとめて捉えた。では、この3日間で本当に順位を分けたものは何だったのか。持ち味ランキングと実スタッツで読み解く。
① 3日間を通して効いたのは「パーオン」――圧倒的
各選手の事前の出場者内「番手」と、最終通算スコアの相関を集計した。数字が大きいほど、その持ち味が最終順位に直結したことを示す。
| 持ち味ランキング | 3日間通算との相関 | |
|---|---|---|
| パーオン率女王 | +0.52 | ◎◎ 圧倒的に効いた |
| 初日好調女王 | +0.31 | ◎ |
| 高難度コース女王 | +0.28 | ◎ |
| 飛距離女王 | +0.25 | ○ |
| パター女王 | +0.23 | ○ |
| リカバリー女王 | +0.18 | ○ |
| 女王指数 | +0.17 | ○ |
| まくり女王 | -0.09 | 効かず |
| 守り切り女王 | -0.25 | 効かず(※小サンプル) |
袖ケ浦・新袖の答えは明快だった。3日間を通して最も順位と連動したのは、グリーンを正確に捉える「パーオン」(相関+0.52)。一方、最終日の「まくり」も、首位を守る「守り切り」も、ほぼ効かなかった。つまりこの大会は、ドラマチックに守る・まくるより、3日間ずっと正確に攻め続けた選手が上に来る――精度のコースだったのだ。首位を走った荒木優奈選手が逃げ切れなかったのも、この構造と無関係ではない。
② 優勝者は「パーオンの王道」を地で行った
| イ ミニョン選手のデータ | 数字 |
|---|---|
| パーオン率女王(事前番手) | 出場者6位 |
| 3日間パーオン | 46/54(85%) |
| 平均飛距離 | 259ヤード(出場屈指の飛ばし屋) |
| 最終日 | 「63」(-9)でまくり |
イ ミニョン選手は、まさに「パーオンの王道」で勝った。飛距離で攻め、3日間で54ホール中46回もグリーンを捉える正確さ。最終日の「63」は、その精度が一気に火を噴いた結果だ。データが最も重視した持ち味を、最も高いレベルで体現した優勝だった。
③ 18歳・吉﨑マーナ選手は“別解”で並んだ
同じ-13でも、2位の吉﨑マーナ選手の中身はまったく逆だった。
| イ ミニョン選手(優勝) | 吉﨑 マーナ選手(2位) | |
|---|---|---|
| 平均飛距離 | 259ヤード | 218ヤード(最短級) |
| 3日間パーオン | 46/54 | 30/54 |
| 3日間パット | 29.3 | 23.0(最少クラス) |
| サンドセーブ | 2/2 | 5/6 |
吉﨑マーナ選手は、今季プロ転向したばかりの18歳(98期)。飛ばさず、パーオンも多くない。それでも、ピンチを救うサンドセーブと、ショートゲームの正確さで-13まで上り詰めた。「飛距離×パーオン」で勝った優勝者と、「寄せ×パット」で並んだルーキー。同じスコアに、まったく違う2つの正解があったのが、この大会の面白さだ。
④ コース:稼ぎどころはパー5、特に18番
最終日(R3平均-1.79)の伸びを支えたのは、4つのパー5だった。
| ホール | パー | 対パー | バーディー数 |
|---|---|---|---|
| 18番 | 5 | -0.60 | 34(最多) |
| 10番 | 5 | -0.42 | 28 |
| 1番 | 5 | -0.19 | 11 |
| 7番 | 5 | -0.11 | 12 |
3日間を通して、スコアの源泉は一貫してパー5。とくに最終18番は、最終日だけで34バーディー。プレーオフがこの18番で繰り返されたことも含め、「パー5でどれだけ取れるか」がこの大会の心臓部だった。飛ばして2オン圏に置けるか、刻んでも3打目で寄せ切れるか――攻め方は違えど、ここを取れた選手が上位に並んだ。
総括
ニチレイレディス2026は、「3日間ずっとグリーンを捉え続ける精度」が最終順位を分けた大会だった(パーオン率の相関+0.52)。その王道を最高レベルで体現したイ ミニョン選手が、史上最長のプレーオフを制覇。対照的に、飛ばさずショートゲームで並んだ18歳・吉﨑マーナ選手の2位も鮮烈だった。各選手の持ち味は持ち味ランキング一覧、大会の全成績は大会ページから。精度のコースで生まれた、二つの正解と一つの歴史。見ごたえのある一週間だった。
*参照:JLPGA公式 ニチレイレディス2026 Round3 フルリーダーボード(賞金)/ホールサマリ/スタッツ/ホールバイホール(参照日 2026-06-21)。持ち味ランキングの番手・相関は当サイト編集部集計(指標2026-06-14スナップショット、出場者内ランキング、Pearson 番手×最終通算)。守り切り女王は対象7名の小サンプルにつき参考値。7ホールプレーオフ(大会史上最長)は公式発表に基づく。