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試合解説2026/06/12

彗星は何者か──14歳アマ・ソア キム選手と、14年前にこの地から羽ばたいたキム ヒョージュ選手

ゴルフ歴4年・平均273ヤード。データの外側から首位に立った「63」を、戦績と週末の見込みから読み解く。

宮里藍 サントリーレディスオープン2026のRound1。出場120名の平均が70.64(パー72に対して-1.36)という、攻めれば伸びる初日に、ひとり別の景色を見ていた選手がいた。9バーディー・ノーボギーの「63」。9アンダー単独首位。名前はソア キム選手、韓国の14歳アマチュアだ。

スコアボードの最上段に、出場者内ランキング(番手)も、当サイトの持ち味ランキングも持たない名前が載っている。データの外側から飛び出してきた、この週いちばんのサプライズ。彼女は何者なのか。そして――14年前、まさにこの大会から世界へ羽ばたいた、ある韓国人選手のことを、ゴルフファンは思い出さずにいられない。

ソア キム選手とは何者か

報道をもとに、まず人物像を整理する。

項目 内容
生年月日 2012年1月15日(14歳)
国籍 韓国(アマチュア)
身長 171cm
ゴルフ歴 約4年(11歳でクラブを握る)
ドライバー平均 キャリー273ヤード(約250m)
自己ベスト 「61」(11アンダー/ジュニア大会)
愛称 「タッコン」
憧れの選手 ネリー・コルダ選手(世界ランク1位)
目標 世界ランク1位・五輪出場・グランドスラム

ゴルフ歴わずか4年というのが、まず目を引く。もともとはピアニストを志し、並行して習っていたテコンドーのコーチに「アスリート向き」と勧められ、祖母のすすめで11歳からクラブを握ったと報じられている。171cmの体から放つドライバーはキャリー273ヤード。今大会の初日も、その飛距離でパー5を立て続けに攻略し、計24パットとグリーン上もまとめての「63」だった。

戦績も、すでに「ジュニアの有望株」の枠に収まっていない。

時期 大会 結果
2026年2月 ポルトガルの男子プロ参戦競技 優勝
2026年4月 韓国ツアー「ザ・シエナオープン」 4位
2026年6月 宮里藍 サントリーレディスオープン R1 単独首位(-9)

男子プロも出場する大会を14歳で制し、韓国の女子プロツアーでも4位に食い込む。JLPGAの舞台が「初めての大舞台」ではなく、すでに大人相手の実戦を積んできた選手だということが分かる。

14年前、この大会から世界へ──キム ヒョージュ選手

ソア キム選手の「63」を見て、多くの関係者が口にしたのが、ある記録の名前だった。今大会の最年少優勝記録、16歳332日。打ち立てたのはキム ヒョージュ選手。2012年、まさにこのサントリーレディスでのことだ。

キム ヒョージュ選手(2012) ソア キム選手(2026・現在)
当時の立場 アマチュア アマチュア
年齢 16歳332日(優勝時) 14歳(R1首位)
この大会での記録 史上3人目のアマ優勝・最年少優勝(宮里藍の18歳101日を更新)、最終日にツアー新記録「61」 優勝すれば最年少記録を大幅更新
その後 同年プロ転向→14年 韓国賞金女王→14年 エビアン選手権(海外メジャー)優勝→15年 米LPGA入会 これから

キム ヒョージュ選手は2012年にアマチュアでこの大会を制し、最終日のツアー新記録「61」とともに、宮里藍の持っていた最年少優勝記録(18歳101日)を一気に塗り替えた。そしてそれを足がかりに同年プロ転向。2014年には韓国ツアーの賞金女王に輝き、同年の「ザ・エビアン選手権」では、自身初の海外メジャーをいきなり優勝で飾る。2015年に米LPGAへ。日本の地方トーナメントでの一勝が、世界のメジャー覇者への入口になった。

ソア キム選手がもし今大会で優勝すれば、キム ヒョージュ選手の「16歳332日」を、14歳という年齢で大幅に更新することになる。14年の時を隔てて、同じ六甲のグリーンで、同じ「アマチュアの韓国少女が世界へ踏み出す物語」が、もう一度始まろうとしている――そう重ねたくなるだけの符合が、確かにそこにある。

では、4日間もつのか

ここからは当サイトの見立てだ。結論から言えば、「勝ち切り」は簡単ではない。だが、上位に残るだけで十分に歴史的だと見ている。

舞台の六甲国際は、事前から当サイトが「木・金は伸び、土曜に難化する我慢型」と読んできたコースで、今年はラフも伸ばされている。初日の-1.36は、易しいパー5(1番・12番・17番)でバーディーが量産された結果という側面が大きい。週末にグリーンが締まれば、スコアは出にくくなる。そのとき問われるのは、飛距離より「外したあとの寄せ」「我慢のパー」だ。

上振れ・下振れの両面を並べる。

追い風になりうる要素 逆風になりうる要素
飛距離 273ヤードはパー5で大きな武器。難コースほど飛ばし屋の優位が出やすい 難化後はフェアウェーキープと精度が問われ、飛距離だけでは押し切れない
経験 男子プロ参戦競技を制すなど大舞台慣れ JLPGAの4日間は未経験。首位スタートの重圧は別物
立場 失うもののない挑戦者の勢い 2日目以降は「追われる14歳」になる
前例 キム ヒョージュ選手というアマ優勝の前例がこの大会にある 当時より若く、ツアー経験は浅い

一方、データの本命は崩れていない。持ち味ランキングでほぼ全項目トップの佐久間朱莉選手、昨年覇者の髙橋彩華選手はともに初日「69(-3)」と我慢の位置取り。2位の桑木志帆選手(-8)は全米女子オープン帰りの“帰国組”で、過去2年も帰国組がこの大会で上振れしてきた本命格だ。土曜に難化すれば、こうした地力のある選手が背後から詰めてくる可能性は高い。

つまり週末は、「データの外側から来た彗星(ソア キム選手)」と「データ本命(佐久間・髙橋・桑木 各選手)」のせめぎ合いになる。彗星がそのまま夜空を駆け抜けるのか、地力が呑み込むのか。どちらに転んでも見ごたえがある。そして仮に最終的に逆転されたとしても、14歳のアマチュアが2日目・3日目と上位に踏みとどまるだけで、それはこの大会の歴史に残る出来事だ。

週末の視点

ソア キム選手はアマチュアで、出場試合数の条件から当サイトの持ち味ランキングには載らない“参考枠”だ。だからこそ、データで測れないものを目撃する楽しみがある。飛距離が週末の難コースでも通用するのか。初めての4日間で、14歳がどんな表情を見せるのか。

14年前、この大会のグリーンから世界へ踏み出した選手がいた。いま同じ場所に立つ彗星が、その物語をなぞるのか、塗り替えるのか。各選手の持ち味は持ち味ランキング一覧、組み合わせはDay2早見表から。データと、その外側。両方を持って週末のリーダーボードを眺めると、観戦は何倍も濃くなる。


参照:ゴルフダイジェスト・オンライン/ALBA Net/egolf/サンケイスポーツ/JLPGA公式ほか 宮里藍 サントリーレディスオープン2026 R1関連報道、Wikipedia「金孝周」(参照日 2026-06-12)。R1スコア・コース傾向は当サイト編集部集計。ソア キム選手はアマチュアのため持ち味ランキング対象外(参考枠)。

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