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試合解説2026/09/13

山下美夢有選手、乗せる数を減らしながら優勝。パット数は32→30→29→25でした|ソニー 日本女子プロゴルフ選手権2026 総括

4日間ずっと「パーオンが最強」のコースで、優勝者だけが逆を行きました。母の故郷・石川での初制覇です。

ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会は、山下美夢有選手が通算-9でプレーオフを制し、優勝しました。4日間をデータで振り返ります。

① 優勝者だけが、逆を行きました

この大会でいちばん強く出ていたのは、実測のパーオン数でした。

実測スタッツ 初日 2日目 3日目 最終日
パーオン数 -0.637 -0.545 -0.770 -0.584
パット数 +0.534 +0.495 +0.389 +0.580
FWキープ数 -0.346 -0.307 -0.149 -0.304
平均飛距離 -0.248 -0.180 -0.228 -0.202

(マイナスが大きいほど「多い人ほどスコアが良い」、プラスが大きいほど「少ない人ほどスコアが良い」)

4日間すべてでパーオンが最強。3日目の-0.770は、今季この連載で見てきた中で最も強い数字です。

そのコースで優勝した山下美夢有選手の4日間が、これです。

初日 2日目 3日目 最終日
スコア 71 70 69 69
パーオン 15 14 14 10
パット数 32 30 29 25

乗せる数は15→10と減り続け、パット数は32→25と7つ減りました。 スコアは71→70→69→69と、4日間一度も悪くなっていません。

最終日のパーオン10/18は、67名の平均11.06を下回る数字です。いちばん効く指標で平均以下だったのに、優勝しました。

最終日の相関を見ると、パット+0.580がパーオン-0.584とほぼ並んでいます。4日間で唯一、パットがパーオンに追いついた日でした。その日に、パット数を25まで削った選手が勝った——そう並べると、筋は通ります。

② コースは、4日間ほとんど動きませんでした

予選通過した67名だけで4日分を並べ直します。

対パー 小松アメダスの風(7〜14時平均)
初日 +0.54 3.4m/s
2日目 +0.22 1.9m/s
3日目 +0.36 2.1m/s
最終日 -0.09 1.0m/s

4日間の幅は0.63打。 片山津は最初から最後までほぼ同じ顔をしていました。全員ベースだと初日+2.44から最終日-0.09まで2.5打も動いて見えますが、その大半は予選落ちによる錯覚です。

なお、風の弱い順とスコアの良い順が4日とも完全に一致しました(最終日 < 2日目 < 3日目 < 初日)。ただし4日分の観測なので、偶然でもこの並びは十分起こり得ます。傾向として頭に置く程度に留めておきます。

稼ぎどころは、日ごとに移りました

パー別の平均対パー 初日 2日目 3日目 最終日
パー3(4ホール) +0.112 +0.025 +0.075 -0.041
パー4(10ホール) +0.199 +0.221 +0.140 +0.105
パー5(4ホール) +0.002 -0.050 -0.336 -0.243

初日と2日目はパー5が延べ1,052回あってイーグルゼロ。3日目に4個、最終日に3個(いずれも16番中心)出ました。16番(530Y・パー5)は4日間で-0.121 → -0.130 → -0.627 → -0.433と、後半2日で完全に稼ぎどころになっています。

一方、8番(405Y・パー4)は4日間すべてでハンディキャップ1〜2位。3日目は67名でバーディがたった1人でした。

③ 早見表に置いた「まくり女王」は、外れました

最終日の早見表で、赤ヘッダーの2枠目にまくり女王を入れました。そのとき、こう書いています。

ただし「まくり」は正直、データ的には弱い枠です。54ホール通算との相関は+0.131で32指標中24位。この指標が測っているのは「最終ラウンドでの追い上げ」そのものなので、今日が本番です。当たるか外れるかは、明日の総括で検証してご報告します。

結果を報告します。外れました。

まくり女王の番手との相関
72ホール通算 +0.263(32指標中20位)
最終日のスコア +0.332
最終日 − 3日目(実際の追い上げ幅) +0.001

「最終日にどれだけ縮めたか」との相関は、+0.001。 数字としては、まったくの無関係です。

最終日のスコアとは+0.332ありますが、これは「もともと上位の選手は最終日も良いスコアで回る」という実力の反映で、"まくり"ではありません。追い上げ幅そのもので測ると、この指標は何も予測していませんでした。

指標名が「まくり」なので、最終日に置きたくなります。ただ、置いた根拠は名前であって、データではありませんでした。今後は名前に引っ張られないよう、気をつけます。

4日通して機能したのは、ひとつだけでした

早見表に置いた指標 36H 54H 72H
海外勢対戦女王(赤・4日間) +0.426 +0.386 +0.436
大舞台女王(メジャー強さ・赤・初日/2日目) +0.148 +0.148 +0.201
4R大会強さ女王(初日/2日目) +0.136 +0.071 +0.180
パーオン女王(赤・3日目) +0.196 +0.268
まくり女王(赤・最終日) +0.131 +0.263

海外勢対戦女王だけが、4日通して上位に居続けました。 米ツアー組が11名出場する週にこの指標を赤で置いた判断は、結果として正解でした。

72ホール通算の全体順位はこうです。

持ち味ランキング 72H通算 対象人数
1 直近5戦女王 +0.548 32名
2 急上昇女王 +0.487 51名
3 バーディー合戦女王 +0.465 46名
4 賞金効率女王 +0.448 59名
5 海外勢対戦女王 +0.436 43名

上位を占めたのは**「最近の調子」を測る指標**(直近5戦・急上昇)でした。1年分の実績を平らにならした指標より、直近を見る指標のほうが強かった、というのが今週の結論です。

④ 米ツアー組が、最後まで際立ちました

グループ 人数 最終日平均 1ラウンド平均(72H) トップ10入り
米ツアーを主戦場にする選手 9名 70.00 71.00 5名(56%)
国内勢 58名 72.21 72.45 7名(12%)
完走者全体 67名 71.91 72.26 12名

トップ10の12名のうち、5名が米ツアー組。9名しか出ていないグループから、です。優勝の山下選手、3位タイの勝みなみ選手・竹田麗央選手、7位タイの畑岡奈紗選手・岩井明愛選手。

展望記事で「米ツアー組は国内の試合数が少ないため、ほとんどの指標で『—』になります。数字がないことは、弱いことを意味しません」と書きました。早見表でも同じ注記を4日間出し続けましたが、今週はそれが最もはっきり出た形になりました。

なお当サイトDBでは、山下美夢有選手の2026年の国内出場は今大会が初戦です。勝みなみ選手は2試合目、竹田麗央選手も2試合目でした。

⑤ 「母の故郷」での初制覇でした

データの外側の話も、ひとつだけ書かせてください。

ALBA Netの事前記事(2026年9月9日)によれば、山下美夢有選手の母は石川県七尾市の出身で、山下選手自身も幼いころから何度も石川を訪れているそうです。同記事で山下選手は、2年前の元日に起きた能登半島地震からの復興が続くなかでの大会について「プレーで元気を届けたい」と話しています。

そしてこの大会は、2年ぶり6度目の出場での初優勝でした。2022年と2024年に2位、2023年に3位。国内メジャーではワールドレディスサロンパスカップ(2022年)とJLPGAツアー選手権リコーカップ(2022・2023年)を制し、2025年にはAIG女子オープン(全英)で海外メジャーも獲っています。そのなかで、日本女子プロゴルフ選手権だけが残っていました。

母の故郷で、最後のひとつを埋めた——そういう4日間でした。

⑥ 2年越しの入れ替わり

この大会は毎年会場が変わります。3年分の優勝スコアを並べます。

会場 優勝 スコア
2024 かねひで喜瀬(沖縄) 竹田 麗央選手 -19
2025 大洗(茨城) 金澤 志奈選手 -10
2026 片山津 白山(石川) 山下 美夢有選手 -9

片山津は3年でいちばんの削り合いでした。 展望記事で「片山津での過去2大会(2008年本大会・2015年日本女子オープン)の優勝スコアは-5と-2。削り合いに寄る前提で見ますが、断定は初日まで保留します」と書いた見立ては、そのまま出ています。

そして2024年は竹田麗央選手が優勝し、山下美夢有選手が2位でした。2026年は山下選手が優勝し、竹田選手が3位タイ。2年越しで、上の2人が入れ替わった格好です。

⑦ 最終日に動いた人たち

順位 選手 初日 2日目 3日目 最終日 通算
優勝 山下 美夢有選手 71 70 69 69 -9
2 吉澤 柚月選手 69 69 71 70 -9
3T 仲村 果乃選手 70 73 69 68 -8
3T 竹田 麗央選手 72 75 63 70 -8
3T 桑木 志帆選手 68 72 69 71 -8
3T 勝 みなみ選手 67 72 69 72 -8
7T 畑岡 奈紗選手 70 76 71 65 -6
7T 河本 結選手・岩井 明愛選手 -6

吉澤柚月選手は、最終日をノーボギーの70で回りました。18ホールでボギーなし。パーオン13/18で29パット。今季8月の北海道meijiカップでツアー初優勝を挙げたばかりの96期生が、メジャーでプレーオフまで持ち込みました。プレーオフは18番の1ホール目で、山下選手がパーを取って決着しています。

畑岡奈紗選手の65は、この日の最少スコア。上がり9ホールを31(10・11・14・16・17番でバーディ)でまとめ、28位タイから7位タイへ上がりました。パーオン14/18で26パット、飛距離263.0ヤードです。

浜崎未来選手は前半9ホールを31(1・4・6・7・9番でバーディ)。23パットはこの日の最少で、66は畑岡選手に次ぐスコアでした。

勝みなみ選手は首位から出て72。16番でイーグルを奪いながら、ボギーが5つ。通算-8の3位タイで終えています。

桑木志帆選手はメルセデス・ランキング1位で3位タイ。この大会は係数2.0の国内メジャーですから、2位の佐久間朱莉選手(17位タイ)との差はさらに広がる見込みです。正式な数字は次回のランキング更新でご報告します。

⑧ 今週、持ち帰った宿題

4日間で、指標の側に3つ宿題ができました。

  1. 「まくり女王」は追い上げ幅を予測しなかった(相関+0.001)。名前で選ばない
  2. 「大舞台女王」(メジャー強さ)は72Hでも+0.201。会場が毎年変わる大会で、メジャー実績は持ち越されにくい可能性
  3. 「風の女王」は風の弱い日でも効いた。天候系の指標が、天候ではない何かを測っているかもしれない

3つとも、当てるための指標というより、当たらなかったことがわかる指標として役に立ちました。来週以降も、置いた根拠と結果を並べて出していきます。

出場選手それぞれの持ち味は、最終日の早見表でご覧いただけます。


引用・参照

  • 最終成績・プレーオフの結果はJLPGA公式「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会 フルリーダーボード(4日目・PO)」(2026年9月13日取得、完走67名)
  • ホール別対パー・パーオン率・イーグル/バーディ数はJLPGA公式「ホールサマリ(1〜4日目)」、選手別の飛距離・FWキープ・パーオン・パット数は同「スタッツ(1〜4日目)」、各選手のホール別スコアは同「ホールバイホール(3日目・4日目)」(いずれも同日取得)
  • ②の「同じ67名で並べ直した対パー」、③の相関、④のグループ別平均は当サイト編集部の集計です
  • 持ち味ランキングの番手・相関は当サイト編集部の集計(指標は2026年9月6日スナップショット、番手は通過67名のうち当サイトDBに登録があり各指標の最低試合数を満たす選手内)。相関はピアソン相関で、正の値は「番手が上位ほどスコアが良い」ことを示します
  • 風速・気温・降水量は気象庁アメダス 小松(石川県、観測点コード56276)の毎正時値。初日のみ気象庁「過去の気象データ検索」(prec_no=56/block_no=1324)。会場の実測値ではなく、最寄り観測点の値です
  • 過去大会の優勝者・優勝スコア、各選手の出場歴は当サイトDB(JLPGA公式データに基づく)。2026年の国内出場数も当サイトDBに登録のある大会に限った数字です
  • 片山津白山コースでの過去開催(2008年日本女子プロゴルフ選手権・2015年日本女子オープン)は、JLPGA公式・JGA公式の歴代優勝者ページに準拠(2026年9月7日閲覧)
  • ⑤の母の出身地・大会出場歴・本人コメントはALBA Net「大好きな母の故郷で初の日本タイトルを 山下美夢有『石川に元気を届けたい。勝ちたい』」(2026年9月9日配信、臼杵孝志)に基づきます。身長・プロテスト合格日・ゴルフ歴・通算優勝回数はJLPGA公式「山下 美夢有 プロフィール詳細」(2026年9月13日閲覧)
  • 米ツアーを主戦場にする選手の定義は展望記事と同一。11名のうち予選を通過した9名で集計しています

関連選手

この大会の舞台

片山津ゴルフ倶楽部 白山コース(石川県)は、一般のゴルファーもプレーできるコースです。

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この記事の「持ち味」、データで見つかります

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