3日目、コースは易しくなっていません。同じ67人で並べると+0.54 → +0.22 → +0.36|ソニー 日本女子プロゴルフ選手権2026 3日目
首位は勝みなみ選手の-8。竹田麗央選手の63は、フィールド平均との差-9.36打。今季8,237ラウンドで2番目に大きい数字です。
ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会の3日目が終わりました。首位は勝みなみ選手の通算-8。67名が18ホールを終えた1日を、データで振り返ります。
① 「3日目は急に易しくなった」は、錯覚です
まず、いちばん誤解されやすいところから。
この日のコース平均は72.3582(+0.3582)。初日+2.4394、2日目+2.1069でしたから、数字だけ見れば「2打も易しくなった」ように見えます。
ですが、これはほぼ全部が予選落ちによるものです。
3日目を回ったのは予選を通過した67名だけ。初日・2日目の平均は、予選に届かなかった選手も含んだ132名・131名の数字でした。同じ67名だけで3日分を並べ直します。
| 対パー | 67名の合計打数 | |
|---|---|---|
| 初日 | +0.54 | 4,860 |
| 2日目 | +0.22 | 4,839 |
| 3日目 | +0.36 | 4,848 |
3日間で0.32打の幅しかありません。 しかも3日目は2日目より0.13打難しい。片山津は、最初から最後までほぼ同じ顔をしていました。
この「生存者バイアス」は毎週のように顔を出しますが、全員ベースで-2.08打、同集団で+0.13打という今回の差は、これまで見てきた中でもかなり極端です。予選通過後のラウンドを前日と比べるときは、必ず同じ集団に揃える必要があります。
② ただし、変わったところはあります。パー5です
コース全体は動いていませんが、中身は動きました。パー5の4ホールです。
| パー5 | 初日 | 2日目 | 3日目 |
|---|---|---|---|
| 1番(530Y) | +0.114 | -0.099 | -0.060 |
| 9番(530Y) | +0.076 | -0.122 | -0.343 |
| 14番(515Y) | -0.061 | +0.153 | -0.313 |
| 16番(530Y) | -0.121 | -0.130 | -0.627 |
| 4ホール合計 | +0.008 | -0.198 | -1.343 |
16番は-0.627。67名中38名がバーディ、3名がイーグルです。 パーオン率89.6%、パーセーブ率97.0%。この1ホールだけで、フィールド全体が0.63打縮めています。
そしてこの日、大会で初めてイーグルが出ました。4個(16番3個・14番1個)。 初日と2日目はパー5が延べ1,052回あってゼロでしたから、コースの見せ方が変わったのは確かです。ティーやピンの位置は公式データに出ないので理由は書けませんが、数字は正直に動いています。
一方で、難しいホールは3日間ずっと難しいままでした。
| ホール | 初日 | 2日目 | 3日目 |
|---|---|---|---|
| 8番(405Y・パー4) | +0.379 | +0.489 | +0.403 |
| 12番(410Y・パー4) | +0.318 | +0.382 | +0.343 |
| 18番(430Y・パー4) | +0.326 | +0.481 | +0.239 |
| 4番(395Y・パー4) | +0.333 | +0.069 | +0.284 |
8番は3日連続でハンディキャップ1。この日は67名のうちバーディがたった1人、ボギー20・ダブルボギー1・それ以上2でした。12番もバーディ1人です。
片山津は「パー5で稼いで、長いパー4で守る」コース。3日目はその輪郭がいちばんはっきり出ました。
③ 竹田麗央選手の63は、今季で2番目の「フィールド超え」でした
その日のいちばんの数字は、**竹田麗央選手の63(-9)**です。
前半33(1番・6番・7番でバーディ)で折り返し、後半に入って11番バーディ、12番でボギーを打った直後から、13番・14番・15番・16番・17番・18番と6連続バーディ。上がり9ホールを30で回りました。
63という数字そのものも珍しいのですが、この日のコースで63だったことが効いています。当サイトDBで2026年シーズンの国内ツアー全ラウンド(8,237ラウンド)を並べ、そのラウンドのフィールド平均との差で順位をつけると、こうなります。
| 順 | 選手 | スコア | 大会・ラウンド | その日のフィールド平均 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 佐久間 朱莉選手 | 62 | ダイキンオーキッド R2 | 72.85 | -10.85 |
| 2 | 竹田 麗央選手 | 63 | ソニー日本女子プロ R3 | 72.36 | -9.36 |
| 3 | 鈴木 愛選手 | 63 | KKT杯バンテリン R2 | 72.31 | -9.31 |
| 4 | 安田 祐香選手 | 61 | NEC軽井沢72 R1 | 69.95 | -8.95 |
| 5 | 岡山 絵里選手 | 63 | NTTドコモビジネス R1 | 71.78 | -8.78 |
今季63以下は14ラウンドありますが、その多くはフィールド全体がアンダーパーで回った日に出ています。竹田選手の63は、フィールドが+0.36で回った日の63でした。
スタッツは飛距離251.0ヤード・FWキープ8/14・パーオン15/18・25パット。この日のパーオン15以上は3名だけで、うちパット25はひとりです。
竹田選手は2024年のこの大会の優勝者(かねひで喜瀬で-19)。今季の国内出場は富士フイルム・スタジオアリス女子オープンの5位のみで、今大会が2試合目です。展望記事で「米ツアー組は国内の試合数が少ないため、ほとんどの指標で『—』になります。数字がないことは、弱いことを意味しません」と書きましたが、まさにその形になりました。
④ パーオンが、3日連続で最強。しかも3日目が最強でした
実測スタッツとその日のスコアの相関です。
| 実測スタッツ | 初日 | 2日目 | 3日目 |
|---|---|---|---|
| パーオン数 | -0.637 | -0.545 | -0.770 |
| パット数 | +0.534 | +0.495 | +0.389 |
| FWキープ数 | -0.346 | -0.307 | -0.149 |
| 平均飛距離 | -0.248 | -0.180 | -0.228 |
-0.770は、今季この連載で見てきた中で最も強い数字です。3日目の全体パーオン率は60.20%(1人あたり10.84/18)で、初日58.50%・2日目56.74%より上がりました。
対照的に、FWキープの効き目は-0.346 → -0.307 → -0.149と薄れています。フェアウェイからでもグリーンに乗らない日が続いたあと、乗る日になったら、どこから打ったかはあまり関係なくなった、という読み方ができます。
首位から落ちた永井花奈選手の76が、この日のパーオンの重さをいちばん端的に示しています。パーオンは7/18。パット数は27で悪くありません。前半で3番・5番・6番・8番と4つボギーを打ち、39で折り返しました。乗らなければ、パットが良くてもスコアにならない——このコースが3日間ずっと言い続けてきたことです。
ここが大事です。「パーオン女王」は、そこまで効いていません
紛らわしいので分けて書きます。
- 実測のパーオン数(その日18ホール中いくつ乗せたか)→ スコアとの相関**-0.770**
- 持ち味ランキングのパーオン女王(過去1年のパーオン率にもとづく番手)→ 54ホール通算との相関**+0.196**(32指標中16位)
まったく違う数字です。 前者は「今日どうだったか」、後者は「これまでどうだったか」。今日乗せた人が勝つのは当たり前ですが、過去1年よく乗せていた人が今日も乗せるとは限らない、というのが3日間の答えでした。
持ち味ランキングは予報で、実測は結果。同じ「パーオン」という言葉でも、役割が違います。
⑤ 54ホール通算で効いた指標と、赤ヘッダーの決着
出場者内番手と54ホール通算の相関です(指標は9月6日スナップショット、通過67名内)。
| 順 | 持ち味ランキング | 54H通算 | (参考)3日目単独 | 対象人数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 直近5戦女王 | +0.389 | +0.386 | 32名 |
| 2 | 海外勢対戦女王 | +0.386 | +0.235 | 43名 |
| 3 | 賞金効率女王 | +0.356 | +0.330 | 59名 |
| 4 | 急上昇女王 | +0.332 | +0.289 | 51名 |
| 5 | バーディー合戦女王 | +0.319 | +0.274 | 46名 |
通過者だけに絞ると実力の幅が狭まるので、36ホール時点(131名)より全体に数字は小さくなります。そのうえで**海外勢対戦女王が+0.386で2位**。36ホールでも+0.426(4位)でしたから、3日通して機能した唯一の指標と言えます。早見表で赤ヘッダーに置いた判断は、これで確定しました。
バーディー合戦女王が5位に上がったのも、②で見たパー5の易化と筋が通っています。伸ばし合いになったホールがある日は、伸ばし合いの指標が効く。
外れた側も書いておきます。大舞台女王(メジャー強さ)は54H通算+0.148で21位、4R大会強さ女王は+0.071で25位。初日・2日目の早見表で置いたこの2つは、3日分そろっても機能しませんでした。3日目の早見表からは外してパーオン女王に差し替えましたが、そちらも+0.196で、正直に言えば当たりとは言えません。
なお3日目単独では連続Top10女王が+0.513で最大でしたが、対象が32名と少ないため、参考値として扱います。
⑥ 米ツアー組が、3日連続で際立ちました
| グループ | 人数 | 3日目平均 | 1ラウンド平均(54H) | トップ10入り |
|---|---|---|---|---|
| 米ツアーを主戦場にする選手 | 9名 | 69.67 | 71.33 | 4名(44%) |
| 国内勢 | 58名 | 72.78 | 72.53 | 9名(16%) |
| 完走者全体 | 67名 | 72.36 | 72.37 | 13名 |
3日目だけで3.1打差。トップ5のうち3名(勝みなみ選手・山下美夢有選手・竹田麗央選手)が米ツアー組です。
しかもこの3名の今季の国内出場は、勝選手が明治安田の9位、竹田選手が富士フイルムの5位、山下選手はゼロ。今大会が2試合目、あるいは今季初戦という選手たちが上位を占めています。
⑦ 順位表は、大きく入れ替わりました
| 順位 | 選手 | 初日 | 2日目 | 3日目 | 通算 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 勝 みなみ選手 | 67 | 72 | 69 | -8 |
| 2T | 吉澤 柚月選手 | 69 | 69 | 71 | -7 |
| 2T | 桑木 志帆選手 | 68 | 72 | 69 | -7 |
| 4T | 山下 美夢有選手 | 71 | 70 | 69 | -6 |
| 4T | 竹田 麗央選手 | 72 | 75 | 63 | -6 |
| 6T | サイ ペイイン選手・仲村 果乃選手・堀 琴音選手・岩井 明愛選手・永井 花奈選手・河本 結選手・脇元 華選手・蛭田 みな美選手 | -4 |
6位タイに8名。首位から4打差の中に、13名がいます。
36ホール時点の順位からの動きが、そのまま3日目の性格を表しています。
| 選手 | 36H時点 | 3日目 | 54H | 動き |
|---|---|---|---|---|
| 竹田 麗央選手 | 47位T | 63 | 4位T | +43 |
| 佐久間 朱莉選手 | 53位T | 66 | 14位T | +39 |
| 青木 瀬令奈選手 | 47位T | 68 | 20位T | +27 |
| 荒木 優奈選手 | 47位T | 68 | 20位T | +27 |
| 川﨑 春花選手 | 21位T | 78 | 60位T | -39 |
| 皆吉 愛寿香選手 | 29位T | 79 | 62位T | -33 |
| 神谷 桃歌選手 | 10位T | 77 | 41位T | -31 |
メルセデス・ランキング2位の佐久間朱莉選手が66で39人抜き。 出場者内で6指標トップ3という早見表どおりの位置に、3日目でようやく戻ってきました。
⑧ 最終日の見どころ
最終日も67名全員が6:50〜8:51スタート。最終組(8:51)は吉澤柚月選手・桑木志帆選手・勝みなみ選手、その前の組(8:40)が脇元華選手・山下美夢有選手・竹田麗央選手です。
見どころを3つ。
- メルセデス・ランキング1位の桑木志帆選手が-7の2位タイ。 この大会は係数2.0で優勝400pts・2位240pts。2位の佐久間朱莉選手は-2の14位タイですから、桑木選手が首位争いに残った時点で、年間タイトル争いは大きく動きます
- 勝みなみ選手が国内2試合目で首位。 米ツアー組の3名がトップ5にいる形で最終日を迎えます
- 8番(405Y・パー4)は3日間ずっとハンディキャップ1位。3日目は67名でバーディ1人だけでした。ここを平らに抜けられるかどうかが、最後のひとホールまで効いてきます
なお最寄りの小松アメダスで降水を観測したのは、3日間で2日目だけ(未明〜朝に9.0mm)。3日目は降水0.0mmで、朝7〜10時の風は0.3〜1.2m/sとほぼ無風、日中の最高気温は28.4℃でした。②で見たパー5の易化には、この穏やかさも効いている可能性があります。
出場選手それぞれの持ち味は、3日目の早見表でご覧いただけます(通過67名内の番手です)。
引用・参照
- 3日目のスコア・順位はJLPGA公式「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会 フルリーダーボード(3日目)」(2026年9月12日取得、67名)
- ホール別対パー・パーオン率・イーグル/バーディ数はJLPGA公式「ホールサマリ(1日目・2日目・3日目)」、選手別の飛距離・FWキープ・パーオン・パット数は同「スタッツ(1日目・2日目・3日目)」、竹田麗央選手のホール別スコアは同「ホールバイホール(3日目)」(いずれも2026年9月12日取得)
- 最終日のスタート順はJLPGA公式「ペアリング(4日目)」に基づきます
- ①の「同じ67名で並べ直した対パー」、③の「フィールド平均との差」ランキング、⑥のグループ別平均は当サイト編集部の集計です。③は当サイトDBに登録のある2026年シーズンの国内ツアー全ラウンド(8,237ラウンド)を母数とし、各ラウンドの出場者平均との差で並べたもの。当サイトDBに未登録の大会・ラウンドは含みません
- 持ち味ランキングの番手・相関は当サイト編集部の集計(指標は2026年9月6日スナップショット、番手は通過67名のうち当サイトDBに登録があり各指標の最低試合数を満たす選手内)。相関はピアソン相関で、正の値は「番手が上位ほどスコアが良い」ことを示します
- 風速・気温・降水量は気象庁アメダス 小松(石川県、観測点コード56276)2026年9月12日の毎正時値(同日取得)。会場の実測値ではなく、最寄り観測点の値です
- 各選手の今季成績・過去大会成績は当サイトDB(JLPGA公式データに基づく)。メルセデス・ランキングはJLPGA公式(2026年9月6日時点)
- 米ツアーを主戦場にする選手の定義は展望記事と同一。11名のうち予選を通過した9名で集計しています
関連選手
この大会の舞台
片山津ゴルフ倶楽部 白山コース(石川県)は、一般のゴルファーもプレーできるコースです。
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32の持ち味ランキングで選手の個性を多面的に。大会週は毎朝、見どころデータをXに投稿しています。