吉田鈴選手、後半だけで4つ伸ばしてノーボギーの68──コースは実は、日を追って難しくなっていた|CAT Ladies 2026 総括
全体平均だけ見れば最終日が易しく見えます。でも同じ52人で並べ直すと、逆でした。そして「守り切り」9番手の選手が勝ちました。
吉田鈴選手が通算-13で優勝しました。 69-66-68。千葉県市川市出身、2024年プロ入りの97期生で、6月のヨネックスレディスに続く今季2勝目です。
① 優勝ラウンドは、後半だけで4つ
最終日の68の中身が、この大会を象徴していました。
| 吉田 鈴選手 最終日 | |
|---|---|
| スコア | 68(-4) |
| バーディ | 4 |
| ボギー | 0 |
| 前半(OUT) | 36(イーブン) |
| 後半(IN) | 32(-4) |
| パーオン | 15/18 |
| パット | 29 |
前半9ホールは、9つ全部パー。 伸ばしも落としもしませんでした。そして10番・12番・16番・18番の4つ。バーディはすべてバックナインです。
この日ノーボギーで回ったのは、52人中3人だけでした。吉田選手(68)、河本結選手(66)、岡山絵里選手(67)。優勝者がその1人だったというのが、今大会の結論だと思います。
最終日のベストスコアは66で、河本結選手と菅楓華選手の2人。河本選手は6バーディ・ノーボギーで3位タイまで浮上しました。
② 全体平均を見ると、最終日は易しく見える
コースの数字を並べます。まず出場者全員ベースです。
| 人数 | 平均対パー | |
|---|---|---|
| 初日 | 102名 | +0.147 |
| 2日目 | 99名 | +0.071 |
| 最終日 | 52名 | -1.135 |
最終日だけ、急に1打以上易しくなったように見えます。
でも、これは予選を通過した上位52名しか回っていないからです。母集団が変われば平均も変わります。
そこで、3日間を回った同じ52人だけで並べ直しました。
| 同じ52名の平均対パー | |
|---|---|
| 初日 | -1.962 |
| 2日目 | -1.788 |
| 最終日 | -1.135 |
逆でした。 大箱根は、日を追って難しくなっていたのです。
18ホール中オーバーパーだったホールも、初日9・2日目10に対して最終日は6。数字の上では緩んで見えますが、同じ人が回った結果で比べると、伸ばせなくなっている。
とくに16番パー4(422ヤード)は最終日に**+0.385**まで跳ね上がり、52人でボギー16・ダブルボギー3を叩き出しました。11番パー4はパーオン率32.7%です。上がりの難しいパー4が、最後に効いた形でした。
一方で伸ばせたのはやはりパー5。1番(-0.500)、18番(-0.365)でした。
③ 雨は、3日間とも降っていませんでした
初日の振り返りで、ひとつ保留にしたことがあります。
全32指標のうち相関1位だったのが雨の女王(+0.425)でしたが、当日の天候を一次情報で確認できていませんでした。
大会終了後、JLPGA公式の記録を取り込みました。
| 8/21(金) | 8/22(土) | 8/23(日) | |
|---|---|---|---|
| 気温 | 28.8℃ | 29.1℃ | 26.1℃ |
| 天候 | 晴れ | 晴れ | 曇り |
| 風 | 南南西1.6m/s | 東1.4m/s | 南東1.6m/s |
3日間とも雨は降っていません。
つまり初日の雨の女王は、雨とはまったく関係なく上位に来ていたことになります。あのとき「雨の女王と難コース強さは性質の近い指標で、同じ『耐える力』を両方が拾ったと読むのが自然」と書きましたが、その読みでよかったようです。
数字が高いことと、その指標が意味を持っていることは別。先週の地元開催女王に続いて、2週連続で同じ確認ができました。
なお3日間の合計入場者数は7,106人でした。
④ 「積むほど当たる」が、3週続けて出ました
今週いちばん報告したいのはここです。
比較の条件を揃えるため、3日間を完走した52名だけで、初日・36ホール・54ホールの相関を取り直しました。
| 持ち味ランキング | 初日 | 36H | 54H |
|---|---|---|---|
| 難コース強さ女王 | +0.105 | +0.299 | +0.413 |
| 初日好調女王 | +0.150 | +0.450 | +0.481 |
| 賞金効率女王 | +0.126 | +0.376 | +0.412 |
| 3R大会強さ女王 | +0.007 | +0.210 | +0.357 |
| 女王指数 | +0.099 | +0.305 | +0.358 |
5つとも、同じ階段になりました。
先週のNEC軽井沢72は直近5戦の勢いが+0.239→+0.431→+0.458。その前の北海道meijiカップでは女王指数の帯別で予選通過率がきれいな階段になっていました。
3週続けて、同じ形が出ています。 持ち味ランキングは1ラウンドを当てる道具ではなく、複数ラウンドの傾向を測る道具である——もう法則と呼んでいいと思います。
⑤ 「守り切り」は、いちばん下の選手が勝ちました
正直に書きます。
最終日の早見表で、守り切りを赤ヘッダーに据えました。この指標にデータがあるのは52名中9名だけで、その9人の結果はこうです。
| 番手 | 選手 | 最終順位 |
|---|---|---|
| 1 | 永井 花奈選手 | 6位タイ(-9) |
| 2 | 桑木 志帆選手 | 3位タイ(-10) |
| 3 | 菅 楓華選手 | 6位タイ(-9) |
| 4 | 佐久間 朱莉選手 | 13位タイ(-8) |
| 5 | 金澤 志奈選手 | 22位タイ(-5) |
| 6 | 神谷 そら選手 | 3位タイ(-10) |
| 7 | 荒木 優奈選手 | 2位(-11) |
| 8 | 河本 結選手 | 3位タイ(-10) |
| 9 | 吉田 鈴選手 | 優勝(-13) |
9人中、いちばん番手が下だった吉田鈴選手が勝ちました。 54ホール通算との相関は-0.459で、符号が逆です。
ただしn=9です。 この人数で「守り切りは逆相関」と結論づけるのは乱暴で、9人全員が上位に固まっている(9人中7人が13位タイ以内)ことのほうが、たぶん本質的です。逃げる経験を持った選手が、そろって上位で終えたとは言えます。
もう一方の赤ヘッダー、まくりは最終日単日で+0.226。
- 3番手の河本結選手が66で3位タイまで浮上 ← 的中
- 1番手の申ジエ選手は74で44位タイ、2番手の都玲華選手は74で49位 ← 空振り
半分です。 展望で「2年続けて最終日に66〜67の追い上げが上位に殺到している」と書きましたが、今年もその形にはなりました。ただしそれを起こしたのが、まくり上位とは限らなかった、ということです。
⑥ 最終日だけ、パットに戻った
実測スタッツの推移も面白い形をしています。
| 初日 | 2日目 | 最終日 | |
|---|---|---|---|
| パーオン数 | -0.608 | -0.617 | -0.334 |
| パット数 | +0.500 | +0.497 | +0.658 |
初日と2日目はパーオンが支配し、最終日だけパットに入れ替わりました。
最終日のパーオン率は52名で71.2%。上位層だけとはいえ、乗る前提の日になったぶん、差がついたのはグリーン上だったということです。
象徴的だったのが佐久間朱莉選手でした。15/18パーオンと乗せながら、35パット。 73を打って首位タイから13位タイに後退しています。乗せる力は落ちていないのに、スコアが出ませんでした。
逆に菅楓華選手は12/18パーオンで24パットの66。乗った数は佐久間選手より3つ少なくて、7打いいスコアです。
⑦ 荒木優奈選手、今季4度目の2位
2位に入った荒木優奈選手についても書いておきたいと思います。
68-68-69で通算-11。3日間すべてアンダーパーで、ボギーは3日間で3つだけでした(初日はノーボギー)。
そして今季の成績を並べると、こうなります。
| 大会 | 順位 |
|---|---|
| ヤマハレディース | 2位 |
| NTTドコモビジネスレディス | 2位 |
| ワールドレディス | 3位 |
| リゾートトラストレディス | 4位 |
| ニチレイレディス | 4位 |
| 明治安田レディス | 2位 |
| CAT Ladies | 2位 |
2位が4回、3位が1回、4位が2回。それでいて、まだ未勝利です。 メルセデス・ランキングは5位、20試合で賞金7,029万円。優勝だけがありません。
大箱根は、その荒木選手が最後まで崩れなかったコースでもありました。
⑧ 週の終わりに
52名が3日間を戦い、3名が競技を終えられませんでした。真夏の箱根、初日と2日目は28℃台の晴天で、決して楽な3日間ではなかったと思います。
先週NEC軽井沢72を大会新記録の-23で制した安田祐香選手は、イーブンパーで1打足りず予選落ち。地元・横須賀市出身で昨年ここで2位タイだった木戸愛選手も、同じイーブンパーでした。伸びないコースは、1打の重みも変わりません。
そして優勝した吉田鈴選手は、先週のコラムで取り上げた日本ウェルネススポーツ大学の出身です。メルセデス10位・11位・14位に同大学の3人が並んでいることを書いた翌週に、その10位の選手が勝ちました。
3日間の分析は大会展望・R1振り返り・R2振り返りから。各選手の持ち味は持ち味ランキング一覧で確認できます。
吉田鈴選手、優勝おめでとうございます。
引用・参照
- JLPGA公式 CAT Ladies 2026 Round3 フルリーダーボード/ホールサマリ/ホールバイホール/スタッツ、および大会ページ「天気・入場者数」(参照日:2026-08-23)
- コース平均対パーは、出場者全員ベースと、3日間を完走した52名に揃えたベースの両方を当サイトで算出
- 持ち味ランキングの番手・相関は当サイト編集部の集計(指標は2026年8月16日スナップショット。Pearson相関。初日・36H・54Hの比較は、範囲を揃えるため完走52名のみで再計算。全32指標を確認)
- 実測スタッツとスコアの相関は、公式スタッツ(R1=102名/R2=99名/R3=52名)を当サイトで再集計
- 出身地・プロ入り年・入会期・出身校は当サイトDB、所属はJLPGA公式ペアリング表に準拠
- メルセデス・ランキングおよび今季成績は当サイトDB(メルセデスは2026年8月16日時点)
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