吉澤柚月選手が-8で優勝──3日間で最難の15番を、最終日にバーディで獲った2人のうちの1人だった|北海道meijiカップ2026 総括
表彰台を独占したのは女王指数19・20・22番手。1・2・6番手は予選落ちした。それでも指標は「当たっていた」と言える理由。
吉澤柚月選手が通算-8で、JLPGAツアー初優勝を飾った。 69-70-69。2位に永井花奈選手(-6)、3位に安田祐香選手(-5)。
千葉県市川市出身の22歳(2003年11月23日生まれ)。麗澤高校から日本ウェルネススポーツ大学へ進み、2023年度のプロテストに11位(通算-8)で合格した96期生だ。今季5月のリゾートトラスト レディスではプレーオフで敗れており、その雪辱を3か月後に果たしたことになる。
平均+1.74/+2.08/+0.70という3日間で、-8という数字がどれだけの価値を持つかは、ここまでの2本を読んでくださった方には伝わると思う。事実、3日間すべてをアンダーパーで回れたのは108人中4人だけで、その4人が優勝・2位・4位タイ・4位タイを占めた。
| 3日間オールアンダーの4人 | R1 | R2 | R3 | 最終 |
|---|---|---|---|---|
| 吉澤 柚月選手 | 69 | 70 | 69 | 優勝 |
| 永井 花奈選手 | 70 | 71 | 69 | 2位 |
| 金澤 志奈選手 | 71 | 71 | 70 | T4 |
| 菅 楓華選手 | 71 | 71 | 70 | T4 |
崩れないこと。 それがこの大会の唯一の勝ち筋だった。
① 決着は、この大会でいちばん難しいホールで起きた
3日間を通じて、15番パー4(400ヤード)だけは一度も緩まなかった。
| ラウンド | 15番の対パー | バーディ数 |
|---|---|---|
| R1 | +0.28 | 4/108人 |
| R2 | +0.37 | 5/105人 |
| R3 | +0.30 | 2/50人 |
最終日、15番でバーディを獲ったのはたった2人。吉澤柚月選手と金澤志奈選手だった。
そしてその2人が、優勝と4位タイに入っている。吉澤選手は14番・15番の連続バーディで抜け出し、17番のボギーを差し引いても69でまとめた。3日間ずっと選手を苦しめたホールを、勝負どころで獲った選手が勝った。 これ以上わかりやすい決着はない。
この日のベストスコアは穴井詩選手の66(-6)。17/18パーオンという内容で、後半9ホールだけで5バーディを奪い、75→66の巻き返しで4位タイに飛び込んだ。
② 3日間、この大会はずっと「乗せる力」の大会だった
毎日、全選手のスタッツとスコアの相関を取った。結果は驚くほど安定していた。
| 実測スタッツ | R1 | R2 | R3 |
|---|---|---|---|
| パーオン数 | -0.633 | -0.660 | -0.645 |
| パット数 | +0.437 | +0.372 | +0.215 |
| 飛距離 | -0.137 | -0.277 | -0.192 |
| フェアウェイキープ | -0.105 | -0.232 | +0.085 |
3日間すべてでパーオンが-0.6台。 ここまで一貫した大会は珍しい。フェアウェイキープに至っては最終日にプラス(=効かない)に転じており、「曲げないこと」ではなく「乗せること」だけが問われた3日間だった。
先週のいい部屋ネットレディスは、これと真逆だった。通過ラインが-5の超ロースコア決戦で、勝敗を分けたのはパット数。2週間で、ゴルフというゲームの問われ方がここまで変わる。 女子プロゴルフを毎週追う面白さは、この振れ幅にあると思っている。
③ 表彰台は女王指数19・20・22番手──1・2・6番手は予選落ち
今大会の答え合わせは、少し込み入っている。
| 選手 | 最終 | 女王指数(出場108名内) |
|---|---|---|
| 吉澤 柚月選手 | 優勝 | 19 |
| 永井 花奈選手 | 2位 | 20 |
| 安田 祐香選手 | 3位 | 22 |
| … | ||
| 佐久間 朱莉選手 | 予選落ち | 1 |
| 髙橋 彩華選手 | 予選落ち | 2 |
| 神谷 そら選手 | 予選落ち | 6 |
表彰台の3人が、19・20・22番手できれいに並んだ。 そして総合力トップ3のうち2人が決勝ラウンドに残れなかった。
これだけ見れば「指標は外れた」ように映る。だが帯ごとに集計すると、まったく違う絵になる。
| 女王指数の帯 | 人数 | 予選通過率 | トップ10 |
|---|---|---|---|
| 1〜10番手 | 10人 | 70.0% | 4人 |
| 11〜20番手 | 10人 | 80.0% | 2人 |
| 21〜40番手 | 20人 | 50.0% | 2人 |
| 41番手以下 | 58人 | 39.7% | 2人 |
上位20人からトップ10入りが6人、41番手以下の58人からは2人だけ。 通過率もきれいな階段になっている。
前回のR1振り返りで「この道具で言えるのは、誰が勝つかではなく、誰が上位に来やすいかまで」と書いた。3日間を終えて、その通りの結果になった。優勝した吉澤選手は19番手──まさに「上位20人」の中から出ている。
④ 最終日に突然効いた「夏の女王」
もう一つ、明確な発見があった。
| 夏の女王との相関 | 値 |
|---|---|
| R1単日 | +0.119 |
| R2単日 | +0.263 |
| R3単日 | +0.451 |
| 54H通算 | +0.467 |
日を追うごとに効き目が強まり、最終日には+0.451。全32指標のなかで断然のトップだった。予選通過50名を帯で割ると、こうなる。
| 夏の女王の番手 | 人数 | 54H通算の平均 |
|---|---|---|
| 1〜20番手 | 14人 | -0.29 |
| 21〜40番手 | 12人 | -0.83 |
| 41番手以下 | 20人 | +2.25 |
夏に強い上位40人と、41番手以下で3打近い差がついた。8月の3日間競技、しかも耐える展開が続いたラウンド。夏場に結果を出してきた選手ほど、最後まで落ちなかったということだろう。
初日にほぼ効かなかった指標が最終日に主役になる——持ち味は「大会に効く/効かない」ではなく「どのラウンドで効くか」で見るべきだという、今週の一番の収穫だった。
⑤ 道産子と、今大会の顔ぶれ
北海道出身7名のうち5名が予選を通過した。
| 順位 | 選手 | 出身 | 通算 |
|---|---|---|---|
| T8 | 阿部 未悠選手 | 恵庭市 | -3 |
| T17 | 小祝 さくら選手 | 北広島市 | ±0 |
| T25 | 政田 夢乃選手 | 札幌市 | +1 |
| T25 | 内田 ことこ選手 | 北海道 | +1 |
| T25 | 吉本 ここね選手 | 札幌市 | +1 |
地元最上位は阿部未悠選手のT8。最終日は69で、道産子として唯一のトップ10入りを果たした。早見表で「地元開催2番手」と紹介した選手が、実際に地元で最上位に来た形になる。
そのほか、女王指数90番手の蛭田みな美選手がT8、91番手の辻梨恵選手がT13と、下位番手からの健闘も目立った。昨年覇者の河本結選手はT35、先週優勝の加藤麗奈選手はT47。連戦の夏は、簡単には続かない。
3日間の分析はR1振り返り・R2振り返り、出場108名の持ち味は初日早見表、各選手の持ち味は持ち味ランキング一覧から。吉澤柚月選手、優勝おめでとうございます。
引用・参照
- JLPGA公式 北海道meijiカップ2026 フルリーダーボード/ホールサマリ/ホールバイホール/スタッツ(参照日:2026-08-09)
- 出身地・プロ入り年・過去成績は当サイトDB、所属はJLPGA公式ペアリング表に準拠
- 持ち味ランキングの番手・相関は当サイト編集部の集計(指標は2026-07-26スナップショット、番手は出場108名内。Pearson相関、番手×各ラウンド単日スコアおよび番手×54ホール通算、全32指標を確認)
- 実測スタッツとスコアの相関は、公式スタッツ(R1=108名/R2=105名/R3=50名)を当サイトで再集計
- 帯別の集計はいずれも当サイトによるもの。R3および54H通算の集計対象は予選通過50名