安田祐香選手、3日間で26バーディ・ボギー3個の完全V──指標の相関は+0.239→+0.431→+0.458と、日を追って上がり続けた|NEC軽井沢72 2026 総括
18年前に同じNEC所属の選手が作った大会記録を、2打更新した3日間。そして「1日では読めないが、積むほど当たる」がまた証明された。
安田祐香選手が通算-23で優勝した。 61-64-68。初日から一度も首位を譲らない完全優勝で、JLPGAツアー通算3勝目、今季初勝利となった。
内容は記録尽くしだった。
| 樹立した記録 | 内容 |
|---|---|
| 大会新記録 | 通算-23(従来は2008年・原江里菜選手の-21を2打更新) |
| JLPGAツアー新記録 | 36ホール最少ストローク125(従来記録を1打更新) |
| JLPGAツアー新記録 | 3日間競技での最多バーディー優勝26個(従来はA.ソレンスタム選手の24個) |
| コースレコードタイ | 初日の61 |
そして、更新された大会記録の保持者だった原江里菜選手は、同じNEC所属で今大会に出場していた(通算-4のT42)。18年前に先輩が作った数字を、後輩が同じ会社の看板を背負って塗り替えたことになる。
① 3日間で、ボギーは3個だけ
26バーディという数字が目を引くが、当サイトが驚いたのはこちらだった。
| 安田祐香選手 | R1 | R2 | R3 | 3日間 |
|---|---|---|---|---|
| スコア | 61 | 64 | 68 | 193(-23) |
| バーディ | 11 | 9 | 6 | 26 |
| ボギー | 0 | 1 | 2 | 3 |
| パーオン | 15/18 | 17/18 | 14/18 | 46/54 |
| パット数 | 22 | 27 | 28 | — |
54ホールを回って、落としたのは3打。 伸ばした数より、崩れなかったことのほうが際立っている。
しかも作り方が毎日違う。初日は「パットで作った61」(15/18パーオン・22パット)、2日目は「乗せて作った64」(17/18・27パット)、最終日は14/18まで落ちながら28パットで守り切った。 3日連続で、違う武器で同じ結果を出している。
② 最終日、7打差は一度4打差まで縮まった
独走に見えた最終日にも、揺れる場面はあった。
1番でティーショットを右に曲げてボギー。5番はパーオンしながら3パットのボギー。 出だし5ホールで2つ落とし、7打あったリードは4打差まで縮まっている。
そこから8番パー3(ピン右上5メートル)、9番(2メートル)と連続バーディで前半をイーブンに戻し、後半は10番6メートル・11番5メートルを立て続けに沈めて再び突き放した。前半36・後半32。 崩れかけた30分を、2つのバーディで断ち切った形だった。
2位タイには岡山絵里選手と菅楓華選手が-16で並んだ。両者とも最終日68。追う側も落ちてはいない。7打差は、追う側のミスで開いたのではなく、単に前がいなくならなかった。
なお最終日のベストスコアは66で、小祝さくら選手・河本結選手・神谷桃歌選手・金田久美子選手の4人。コース平均は-1.56と、2日目(-0.46)より再び易しくなった。
③ 「1日では読めないが、積むほど当たる」が証明された
今大会でいちばんはっきりしたのは、この推移だった。
| 直近5戦の勢いとの相関 | 値 |
|---|---|
| R1のみ | +0.239 |
| 36H通算 | +0.431 |
| 54H通算 | +0.458 |
日を追って、きれいに上がり続けた。 他の指標も同じ方向を向いている。
| 持ち味ランキング | R1のみ | 54H通算 |
|---|---|---|
| 直近5戦の勢い | +0.239 | +0.458 |
| 予選通過率女王 | — | +0.407 |
| 3R大会強さ女王 | +0.162 | +0.361 |
| 女王指数(総合力) | +0.156 | +0.337 |
初日は108人中78人がアンダーパーという「誰でも伸ばせる日」だった。そこでは実力差がスコア差にならない。 2日目にコースが1.6打難化し、3日分が積み上がって、ようやく指標どおりに並んだ。
先週の北海道meijiカップでも、女王指数の帯別で予選通過率がきれいな階段になっていた。2週続けて同じ形が出たので、これはもう法則として書いていいと思う。持ち味ランキングは1ラウンドを予想する道具ではなく、複数ラウンドの傾向を測る道具である。
④ ただし、相関が出ても意味があるとは限らない
正直に書いておきたいことがある。
最終日単日でいちばん高い相関を示したのは、実は地元開催女王(+0.521)だった。だが今大会に長野県出身の選手は1人もいない。 地元開催の要素はゼロである。
つまりこれは、地元開催女王が「出身県で強いか」ではなく、実質的に実力の代理変数として働いた結果にすぎない。数字が高く出たからといって、その指標が意味を持っていたとは限らない。
こういう疑似相関は、32指標を毎週総当たりしていると必ず紛れ込む。上位に来た指標を無条件に信じないことも、データを扱う側の仕事だと考えている。
⑤ 早見表の答え合わせ
最終日の早見表では、守り切りとまくりを赤ヘッダーに据えた。
守り切りについては、こう書いていた——「首位・安田祐香選手の守り切りは算出対象外。データのない領域に入る」。
結果は、その領域で完全優勝だった。7月のいい部屋ネットでも、守り切りが未算出の加藤麗奈選手が3日間首位を守って初優勝している。1か月で2度、「データのない選手が守り切った」ことになる。 これは指標の欠落というより、リードして最終日を迎える経験そのものが、まだ蓄積されていない選手にもチャンスがあるという、ツアーの層の厚さの話なのだろう。
一方まくりは当たった。最終日66を出した4人のうち、**小祝さくら選手(まくり4番手)と河本結選手(同2番手)**が含まれ、河本選手はT12まで浮上している。7月のいい部屋ネットでは逆相関だった指標が、今週は機能した。
そしてもうひとつ、初日と最終日で同じ光景が繰り返された。
| パーオン | パット | スコア | |
|---|---|---|---|
| 初日・金田久美子選手 | 18/18 | 32 | 68 |
| 最終日・岡山絵里選手 | 18/18 | 32 | 68 |
全ホール乗せて32パットの68。 別の選手が、別の日に、まったく同じ数字を出した。乗せるだけでは足りないことを、この大会は2度示した。
⑥ 週の終わりに
62名が決勝に進み、鳥居さくら選手が最終日に失格、5名が競技を終えられませんでした。真夏の3日間、気温は23.2℃・19.6℃・22.1℃と軽井沢らしい涼しさでしたが、それでも簡単な週ではなかったと思います。
前週の北海道meijiカップで、安田選手は最終日を首位で迎えながら3位に終わっています。その1週間後に、記録尽くしの完全優勝。 悔しさの晴らし方として、これ以上の形はないでしょう。
3日間の分析は大会展望・R1振り返り・R2振り返りから。各選手の持ち味は持ち味ランキング一覧で確認できます。
安田祐香選手、優勝おめでとうございます。
引用・参照
- JLPGA公式 NEC軽井沢72ゴルフトーナメント2026 フルリーダーボード/ホールバイホール/スタッツ/大会概要(参照日:2026-08-16)
- JLPGA公式ニュース「安田祐香 記録尽くしの完全Vで通算3勝目」(2026-08-16)。記録の内容・最終日の経緯・選手コメントは同記事に準拠
- 出身地・プロ入り年・過去成績は当サイトDB、所属はJLPGA公式ペアリング表に準拠
- 持ち味ランキングの番手・相関は当サイト編集部の集計(指標は2026-08-09スナップショット。Pearson相関、番手×各期間スコア、全32指標を確認。54H通算の対象は予選通過61名)
- コース平均対パー・気温は当サイトDBおよびJLPGA公式大会ページ