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試合解説2026/09/11

午前の66人は+3.03、午後の66人は+1.85。片山津の初日に1.18打の差がつきました|ソニー 日本女子プロゴルフ選手権2026 初日

首位はサイ ペイイン選手の65。コース平均は+2.44、パーオン率58.5%。パー5の4ホールを合計しても、たった+0.0076でした。

9月10日(木)、ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会が石川県・片山津ゴルフ倶楽部 白山コースで開幕しました。132名が18ホールを終えた初日を、データで振り返ります。

① 削り合いでした

コース平均は74.4394(+2.4394)。アンダーパーは132名中20名、60台は7名だけでした。

初日のスコア分布 人数
60台(69以下) 7名
アンダーパー(71以下) 20名
イーブンパー(72) 15名
オーバーパー 97名

展望記事で「片山津での過去2大会(2008年本大会・2015年日本女子オープン)の優勝スコアは-5と-2。削り合いに寄る前提で見ますが、断定は初日まで保留します」と書きました。保留を外して、削り合いと言っていい初日でした。

なお、この日の片山津は降水量0.0mm、日中の平均気温24.4℃(気象庁 小松アメダス)。雨ではありません。難しかったのはコースのほうです。

② 午前と午後で、1.18打

ここからが今日いちばん見ていただきたいところです。

初日は午前スタート(6:40〜8:30)66名/午後スタート(11:15〜13:05)66名の2ウェーブ制でした。分けて集計すると、こうなります。

午前66名 午後66名
平均対パー +3.03 +1.85
中央値 75 74
第1四分位 73 72
第3四分位 77 76
ベストスコア 68(桑木 志帆選手) 65(サイ ペイイン選手)
アンダーパー 5名 15名
60台 1名 6名

平均で1.18打。しかも平均だけではありません。 中央値も、第1四分位も、第3四分位も、すべて午前が1打ずつ悪い。誰か一人が大叩きしてズレた、という話ではなく、分布全体が1打ぶんスライドしています。

組み分けの偏りではありません

真っ先に疑うべきは「午後に上手い選手が固まっていたのでは」です。確かめました。

午前66名 午後66名
女王指数の出場者内番手・平均 56.4番手 52.9番手
同・出場者内20番手以内の人数 13名 9名

女王指数の平均番手はほぼ互角(むしろ午後がわずかに上)、一方で上位20番手の人数は午前のほうが4名多い。桑木志帆選手・山下美夢有選手・竹田麗央選手・古江彩佳選手・金澤志奈選手・菅楓華選手・荒木優奈選手・稲見萌寧選手らは、いずれも午前スタートでした。

顔ぶれで説明できる差ではない、というのが結論です。

風は、午後に弱まっていました

理由として一つだけ、観測値で言えることがあります。会場に最も近い気象庁アメダス(小松)の1時間ごとの平均風速です。

時刻 風速(m/s) 時刻 風速(m/s)
7時 3.4 13時 2.7
8時 3.6 14時 2.2
9時 4.0 15時 2.8
10時 3.6 16時 3.5
11時 4.0 17時 2.1
12時 3.5 18時 2.4

午前の組がプレーしていた7〜13時は3.4〜4.0m/s、午後の組が後半を迎えた14〜18時は2.1〜2.8m/s。風向は終日、北北東〜北東でした。気温も朝7時の20.3℃から午後は25℃台まで上がっています。

ただし両ウェーブのプレー時間は大きく重なります(午前組は6:40〜13:30ごろ、午後組は11:15〜18:00ごろ)。風だけで1.18打を説明できるとは言えません。候補のひとつとして挙げるに留めます。

③ 390ヤードを超えるパー4が、壁でした

ホール別の対パーを見ると、難易度の並びがきれいに割れました。

難しかったホール 距離/パー 対パー パーオン率
8番 405Y・パー4 +0.379 34.1%
4番 395Y・パー4 +0.333 30.3%
18番 430Y・パー4 +0.326 34.8%
12番 410Y・パー4 +0.318 43.2%
3番 405Y・パー4 +0.235 49.2%
17番 175Y・パー3 +0.220 71.2%
易しかったホール 距離/パー 対パー パーオン率
16番 530Y・パー5 -0.121 81.1%
5番 160Y・パー3 -0.099 88.6%
14番 515Y・パー5 -0.061 62.9%
15番 400Y・パー4 -0.015 57.6%

上位4ホールはすべて395〜430ヤードのパー4。しかもパーオン率が3割台です。 フェアウェイキープ率は全体で65.7%と悪くないのに、グリーンに届かない・止まらない。距離のあるパー4が、この日の失点源でした。

一方で365Y(6番・+0.008)、370Y(11番・+0.061)、375Y(10番・+0.152)と、390ヤードを切るパー4はほぼイーブン。境目がはっきりしています。

ただし例外が1つあり、400ヤードの15番だけは-0.015でバーディ26個。距離だけで決まっているわけではありません。

パー5で稼げませんでした

そしてもうひとつ。パー5の4ホールを合計しても、わずか+0.0076でした。

パー5 距離 対パー バーディ イーグル
1番 530Y +0.114 21 0
9番 530Y +0.076 18 0
14番 515Y -0.061 30 0
16番 530Y -0.121 31 0

132名×4ホール=528回のパー5で、イーグルはゼロ。 4ホールのうち2ホールはオーバーパーです。通常なら稼ぎどころのパー5が、この日は「パーで抜ければ上出来」でした。

パー別にならすと、パー3が平均+0.112、パー4が+0.199、パー5が+0.002。負担は距離の長いパー4に集中しています。

④ 今日いちばん効いたのは「パーオン」でした

実測スタッツと初日スコアの相関(132名)です。

実測スタッツ スコアとの相関
パーオン数 -0.637
パット数 +0.534
FWキープ数 -0.346
平均飛距離 -0.248

パーオン-0.637は、今季この連載で見てきた中でも突出した強さです。先週のゴルフ5レディスは初日がパット+0.568、2日目がパーオン-0.553でした。削り合いのコースでは「乗せる」が直接スコアに効く、という形がはっきり出ています。

この日の全体パーオン率は58.50%(1人あたり10.53/18)。平均パット数は29.84でした。

ただし、乗せれば伸びるかというと、そこは単純ではありません。パーオン15ホール以上を記録した5名は、全員がパット31以上でした。

選手 パーオン パット スコア
ウー チャイェン選手 15/18 31 70
吉田 優利選手 15/18 31 71
山下 美夢有選手 15/18 32 71
キム アリム選手 15/18 33 72
高橋 しずく選手 15/18 35 74

5名の平均は71.6で、全体平均74.44を3打近く上回っています。乗せたぶんスコアは良い。ただし乗せても一気には伸びない。 グリーンに乗ればアプローチで寄せる場面が減るぶんパット数が増えるのは構造的な面もありますが、それを差し引いても31〜35という数字は多めです。

対照的なのが24パットの2人。首位のサイ ペイイン選手はパーオン13/18で24パット、大須賀望選手はパーオン10/18で24パット(70)。乗せて守るか、外して拾うか。 上位には両方のルートが混ざっていました。

⑤ 持ち味ランキングは、どれが効いたか

出場者内番手と初日スコアの相関を、32指標すべてで計算しました(指標は9月6日スナップショット)。上位はこの並びです。

持ち味ランキング 相関 午前だけ 午後だけ
1 TOP10率女王 +0.416 +0.391 +0.466
2 初日好調女王 +0.414 +0.387 +0.460
3 賞金効率女王 +0.388 +0.305 +0.487
4 3R大会強さ女王 +0.386 +0.418 +0.358
5 急上昇女王 +0.374 +0.317 +0.472
6 風の女王 +0.370 +0.345 +0.386
7 リカバリー女王 +0.357 +0.326 +0.361
8 海外勢対戦女王 +0.337 +0.410 +0.241

(数字が大きいほど「番手が上の選手ほどスコアが良かった」ことを意味します)

②で午前と午後に1.18打の差があったので、相関がウェーブの偏りで水増しされていないかも確認しました。表の右2列がそれで、どの指標も午前・午後の両方で成立しています。ウェーブの副産物ではありません。

2位に初日好調女王(+0.414)が入ったのは、初日らしい結果でした。ツアー全体で「初日のスコアが良い」傾向を測る指標で、出場者内の上位8名はこうなっています。

番手 選手 初日
1 荒木 優奈選手 76
1 佐久間 朱莉選手 75
3 菅 楓華選手 73
4 吉澤 柚月選手 69
5 桑木 志帆選手 68
6 鳥居 さくら選手 71
7 吉田 鈴選手 72
8 髙橋 彩華選手 74

個人単位では外れもあります(荒木選手・佐久間選手)。それでも集団として見れば+0.414の傾向が出る、というのが相関の読み方です。

早見表の赤ヘッダーは、半分当たって半分外れました。そしてお詫びがあります

今週の早見表では、**「メジャー強さ」海外勢対戦女王**の2つを赤ヘッダーで強調しました。正直に検証します。

  • 海外勢対戦女王は+0.337(32指標中10位)。午前ウェーブだけで見ると+0.410。米ツアー組が11名戻ってくる週に、その顔ぶれと戦えているかを測る指標を置いたのは、機能しました
  • 「メジャー強さ」=大舞台女王は+0.165。32指標中20位で、ほとんど効いていません

まず、お詫びと訂正です。

この「メジャー強さ」列の番手に、最低試合数(10試合)での絞り込みが抜けていました。国内の試合数が足りず本来は算出対象外の選手が上位に混ざっており、展望記事で「1番手は岩井千怜選手、2番手は古江彩佳選手」と書いたのは誤りです。

大舞台女王(メジャー強さ)出場者内番手 初日
1番手 金澤 志奈選手(ツアー4位) 74
2番手 佐久間 朱莉選手(同5位) 75
3番手 髙橋 彩華選手(同6位) 74
4番手 荒木 優奈選手(同7位) 76
5番手 髙野 愛姫選手(同9位) 73

展望記事と早見表2枚は、いずれも訂正済みです。この指標は「選手ページや持ち味ランキングで見える番手」と食い違っていました。同じ数字がサイト内で2通りある状態を作ってしまったことを、お詫びします。ほかの列(海外勢対戦・4R大会・難コース・女王指数・パーオン)は正しく絞り込まれていました。

そのうえで、指標そのものの話です。大舞台女王は「メジャー大会での平均順位」を測る指標ですが、この大会は毎年会場が変わります。2024年の喜瀬(優勝-19)と2025年の大洗(優勝-10)では性格がまるで違いました。「メジャーで強い」がコースをまたいで持ち越されにくいのだとしたら、この指標を今週の主軸に据えたこと自体、筋が良くなかったのかもしれません。訂正後の正しい番手で測っても+0.165です。今後の検討課題として持ち帰ります。

同じことは実績側にも出ています。昨年の大洗でトップ10に入った13名の初日平均は74.0で、全体平均74.44とほぼ同じでした。唯一アンダーで回ったのは昨年2位の桑木志帆選手(68)だけです。

一方で、米ツアーを主戦場にする11名の初日平均は72.18(全体より2.26打良い)。会場が変わっても通用したのは、昨年の順位ではなく、こちらでした。

グループ 人数 初日平均
米ツアー主戦の選手 11名 72.18
昨年大洗トップ10 13名 74.00
出場者全体 132名 74.44

⑥ 上位の顔ぶれ

順位 選手 スコア ウェーブ
1 サイ ペイイン選手 65(-7) 午後
2 永井 花奈選手 66(-6) 午後
3 勝 みなみ選手 67(-5) 午後
4T 桑木 志帆選手 68(-4) 午前
4T 皆吉 愛寿香選手 68(-4) 午後
4T 稲垣 那奈子選手 68(-4) 午後
7 吉澤 柚月選手 69(-3) 午後

サイ ペイイン選手は今季23試合で最高4位(北海道meijiカップ、NEC軽井沢72)。パーオン13/18で24パット、飛距離237.0ヤードは出場者の平均230.47を上回ります。持ち味ランキングではバーディー合戦女王4番手。ツアー初優勝がかかります。

永井花奈選手は今季23試合でトップ10が10回、2位が4回、ミネベアミツミレディスで優勝。出場者内では波乱率女王1番手・サンドセーブ女王1番手・守り切り女王2番手。「首位に立ってから守る」指標で2番手という点が、明日以降に効いてきます。

勝みなみ選手は米ツアー組。この日の飛距離253.5ヤードは出場者3位で、FWキープ9/14・パーオン13/18・26パット。国内の試合数が少ないため持ち味ランキングの多くは対象外ですが、数字がないことは弱いことを意味しないと展望で書いたとおりの初日でした。

桑木志帆選手はメルセデス・ランキング1位。午前ウェーブで唯一の68です。出場者内で3R大会強さ女王予選通過率女王守り切り女王の3指標が1番手。難しかった午前に、きっちり4つ伸ばしました。

皆吉愛寿香選手は今季24試合で大東建託・いい部屋ネットレディス2位が最高。稲垣那奈子選手は今季25試合でアース・モンダミンカップ2位。吉澤柚月選手アンダーパー女王2番手・急上昇女王2番手・初日好調女王4番手と、今日効いた指標を3つ持っていました。

国内勢のデータ本命として挙げた佐久間朱莉選手は75菅楓華選手は73、ディフェンディングチャンピオンの金澤志奈選手は74。まだ3日あります。

⑦ 2日目の見どころ

2日目のスタート順は、完全に入れ替わります。

初日に午前だった66名は2日目が午後(11:15〜13:05)、初日に午後だった66名は2日目が午前(6:40〜8:30)。公式のペアリングで確認済みです。

つまり2日目は、初日の1.18打差を検証する自然実験になります。

  • もし差がスタート時間そのもの(風・気温・グリーンの状態)によるものなら、2日目は午前・午後が逆転するはずです
  • もし2日目も同じ向きに差が出るなら、初日の差はスタート時間以外の要因だったことになります

どちらに転んでも、片山津というコースの読みが一段深くなります。当サイトにとっては初開催のコースなので、この2日間はまるごと貴重なデータです。

もうひとつ、カットラインの目安です。初日を+2(74)で終えると暫定53〜68位。予選通過は上位60位タイまでですから、現時点では+2前後がボーダー圏ということになります。

初日スコア 累計人数
72(イーブン)まで 35名
73(+1)まで 52名
74(+2)まで 68名
75(+3)まで 88名

出場選手それぞれの持ち味は、2日目の早見表でご覧いただけます。


引用・参照

  • 初日のスコア・順位はJLPGA公式「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会 フルリーダーボード(1日目)」(2026年9月11日取得、132名)
  • ホール別対パー・パーオン率・フェアウェイキープ率・バーディ数はJLPGA公式「ホールサマリ(1日目)」、選手別の飛距離・FWキープ・パーオン・パット数はJLPGA公式「スタッツ(1日目)」(いずれも同日取得)
  • 午前/午後のウェーブ区分および2日目のスタート順はJLPGA公式「ペアリング(1日目・2日目)」に基づき、当サイトで132名を分類
  • 風速・気温・降水量は気象庁「過去の気象データ検索」小松アメダス(石川県、prec_no=56/block_no=1324)2026年9月10日の1時間ごとの値(2026年9月11日取得)。会場の実測値ではなく、最寄り観測点の値です
  • 持ち味ランキングの番手・相関は当サイト編集部の集計(指標は2026年9月6日スナップショット、番手は出場者のうち当サイトDBに登録があり各指標の最低試合数を満たす選手内)。相関はピアソン相関で、正の値は「番手が上位ほどスコアが良い」ことを示します
  • 各選手の今季成績・過去大会成績は当サイトDB(JLPGA公式データに基づく)
  • ⑤に記した「メジャー強さ」列の訂正は2026年9月11日に実施。展望記事および初日・2日目の早見表2枚も同日に修正済みです
  • 米ツアーを主戦場にする11名の定義は展望記事と同一(竹田麗央選手・山下美夢有選手・櫻井心那選手・岩井千怜選手・岩井明愛選手・古江彩佳選手・勝みなみ選手・畑岡奈紗選手・原英莉花選手・吉田優利選手・馬場咲希選手)

関連選手

この大会の舞台

片山津ゴルフ倶楽部 白山コース(石川県)は、一般のゴルファーもプレーできるコースです。

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この記事の「持ち味」、データで見つかります

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