午前と午後を入れ替えたら、差もついてきました。片山津の2日間で、午後スタートが0.83打有利|ソニー 日本女子プロゴルフ選手権2026 2日目
首位は永井花奈選手の-8。予選通過ラインは+4(148)で67名。笠りつ子選手が80から68へ、12打縮めました。
ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会の2日目が終わり、予選通過ラインは**+4(148)で67名**に決まりました。131名が18ホールを終えた1日を、データで振り返ります。
(阿部未悠選手は2日目の12ホールを終えたところで棄権されました。以下の集計は、2日間を完走した131名で行っています)
① 昨日の宿題に、答えが出ました
初日の記事で、こう書きました。
初日に午前だった66名は2日目が午後、初日に午後だった66名は2日目が午前。つまり2日目は、初日の1.18打差を検証する自然実験になります。もし差がスタート時間そのものによるものなら、2日目は午前・午後が逆転するはずです。
逆転しました。しかも、同じ選手たちが逆方向に動いています。
| 人数 | 初日 | 2日目 | 変化 | |
|---|---|---|---|---|
| 初日 午前 → 2日目 午後 | 65名 | +3.05 | +1.88 | -1.17 |
| 初日 午後 → 2日目 午前 | 66名 | +1.85 | +2.33 | +0.48 |
午前に回された組は0.48打悪くなり、午後に回された組は1.17打良くなりました。同じ選手の中での比較なので、実力の差はここには入りません。
「コースが易しくなっただけ」ではありません
2日目のほうが全体としてやや易しかったのは事実です(131名平均で初日+2.44 → 2日目+2.11)。ただ、それだけでは午前組が悪化したことを説明できません。
2つのグループの動きを足し引きすると、日ごとの難易度と時間帯の効果を分けられます。
| 打数 | |
|---|---|
| コースの日差(2日目 − 初日) | -0.34打(2日目のほうが易しい) |
| スタート時間の差(午後 − 午前) | -0.83打(午後のほうが易しい) |
この2日間、午後スタートは午前スタートより平均0.83打有利でした。 4日間競技で、初日と2日目のスタートが逆になる意味は、これくらいある、ということです。
もちろん2日分のデータで、131名です。「片山津はいつも午後が0.83打有利」ではなく、「この2日間はそうだった」が正確な言い方になります。
② 理由は、日替わりでした
面白いのは、午前が不利だった理由が2日で違うことです。気象庁アメダス(小松)の観測値を並べます。
| 初日(9/10) | 2日目(9/11) | |
|---|---|---|
| 降水量 | 0.0mm(終日) | 未明〜朝に9.0mm(3〜7時) |
| 7〜13時の平均風速 | 3.5m/s | 2.0m/s |
| 14〜18時の平均風速 | 2.6m/s | 2.3m/s |
| 日中の平均気温 | 24.4℃ | 23.3℃ |
初日は「午前に風が強かった」。2日目は「風は終日弱かったが、午前組がスタートする直前まで雨が降っていた」。 3時から7時にかけて9.0mm、午前組の6:40スタート直後まで降り続いています。2日目の風は午前2.0m/s・午後2.3m/sで、むしろ午後のほうがわずかに吹いていました。
条件はまったく違うのに、どちらの日も午前が不利でした。原因が日替わりで、結果の向きが同じ。ここが、この2日間のいちばん面白いところだと思います。
③ 難しいホールは、もっと難しくなりました
ホール別に、初日と2日目を並べます。
| ホール | 距離/パー | 初日 | 2日目 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 8番 | 405Y・パー4 | +0.379 | +0.489 | 難化 |
| 18番 | 430Y・パー4 | +0.326 | +0.481 | 難化 |
| 12番 | 410Y・パー4 | +0.318 | +0.382 | 難化 |
| 3番 | 405Y・パー4 | +0.235 | +0.298 | 難化 |
| 14番 | 515Y・パー5 | -0.061 | +0.153 | 難化 |
| 4番 | 395Y・パー4 | +0.333 | +0.069 | 易化 |
| 17番 | 175Y・パー3 | +0.220 | -0.038 | 易化 |
| 1番 | 530Y・パー5 | +0.114 | -0.099 | 易化 |
| 9番 | 530Y・パー5 | +0.076 | -0.122 | 易化 |
8番と18番のパーオン率は、26.7%と29.0%。 初日(34.1%・34.8%)からさらに落ちました。18番は131名中55名がボギー、6名がダブルボギー以上です。
一方で**4番は+0.333 → +0.069、パーオン率30.3% → 53.4%**と、まるで別のホールになりました。17番も+0.220 → -0.038。ティーやピンの位置は公式データに出ないので理由は書けませんが、同じコースでも日によってホールの顔は変わるということは、数字にはっきり出ています。
パー5は易しくなりました。ただしイーグルはゼロのままです
| パー別の平均対パー | 初日 | 2日目 |
|---|---|---|
| パー3(4ホール平均) | +0.112 | +0.025 |
| パー4(10ホール平均) | +0.199 | +0.221 |
| パー5(4ホール平均) | +0.002 | -0.050 |
パー5は4ホール合計で初日+0.0076 → 2日目-0.1984と、稼げる側に振れました。
ただし、2日間のパー5は延べ1,052回で、イーグルはひとつも出ていません。 初日528回(132名×4ホール)、2日目524回(131名×4ホール)。片山津のパー5は、2オンで一気に、という設計にはなっていないようです。
④ パーオンが、2日連続で最強でした
実測スタッツとその日のスコアの相関です。
| 実測スタッツ | 初日 | 2日目 |
|---|---|---|
| パーオン数 | -0.637 | -0.545 |
| パット数 | +0.534 | +0.495 |
| FWキープ数 | -0.346 | -0.307 |
| 平均飛距離 | -0.248 | -0.180 |
順番も強さも、ほぼそのまま。このコースは「乗せた人が勝つ」という性格が、2日続けて出ました。2日目の全体パーオン率は56.74%(1人あたり10.21/18)で、初日の58.50%よりさらに低くなっています。
ただし初日と同じ注意点も、そのまま残りました。この日いちばん乗せた2人が、パット数では下から数えたほうが早いのです。
| 選手 | パーオン | パット | スコア |
|---|---|---|---|
| 笠 りつ子選手 | 17/18 | 31 | 68 |
| 桑木 志帆選手 | 16/18 | 34 | 72 |
| 岩井 明愛選手 | 15/18 | 29 | 68 |
| 全 美貞選手 | 15/18 | 30 | 69 |
桑木志帆選手は16ホール乗せて34パット。 メルセデス・ランキング1位の選手が、この日いちばん多くグリーンを捉えながら72で終えています。片山津のグリーンは、乗せてからがもう一仕事です。
対照的に24パットが2人。髙木優奈選手(パーオン11/18・68)と藤本愛菜選手(8/18・72)でした。
⑤ 36ホール通算で、効いた指標
出場者内番手と36ホール通算の相関を、32指標すべてで計算しました(指標は9月6日スナップショット、2日間を完走した131名)。
| 順 | 持ち味ランキング | 36H通算 | (参考)2日目単独 |
|---|---|---|---|
| 1 | 初日好調女王 | +0.452 | +0.280 |
| 2 | 賞金効率女王 | +0.447 | +0.296 |
| 3 | 3R大会強さ女王 | +0.442 | +0.299 |
| 4 | 海外勢対戦女王 | +0.426 | +0.337 |
| 5 | アンダーパー女王 | +0.419 | +0.271 |
| 6 | 風の女王 | +0.402 | +0.261 |
| 7 | 急上昇女王 | +0.396 | +0.241 |
| 8 | 春強い女王 | +0.387 | +0.250 |
予選通過した67名と、届かなかった64名で、番手の平均を比べるとこうなります。
| 持ち味ランキング | 通過67名の平均番手 | 予選落ち64名の平均番手 |
|---|---|---|
| 初日好調女王 | 44.3番手 | 65.0番手 |
| 賞金効率女王 | 46.2番手 | 69.8番手 |
| 3R大会強さ女王 | 44.8番手 | 63.7番手 |
赤ヘッダーの決着
初日の記事で、早見表の赤ヘッダー2つの検証を途中まで書きました。2日分そろったので、結論を出します。
| 早見表の列 | 36H通算の相関 | 32指標中 |
|---|---|---|
| 海外勢対戦女王(赤) | +0.426 | 4位 |
| 大舞台女王(メジャー強さ・赤) | +0.148 | 24位 |
| 4R大会強さ女王 | +0.136 | 25位 |
| 高難度コース女王 | +0.331 | 15位 |
| パーオン女王 | +0.332 | 14位 |
| 女王指数 | +0.318 | 17位 |
海外勢対戦女王は当たり、大舞台女王は外れ。 そして4R大会強さ女王(+0.136)も効いていません。4日間競技だからと置いた列でしたが、36ホール時点では機能していない、というのが今の数字です。
なお「メジャー強さ」列については、最低試合数の絞り込みが抜けていたことを初日の記事でお詫びしました。訂正後の正しい番手で測り直しても+0.148です。指標の当たり外れと、集計ミスは別の話として、両方お伝えしておきます。
「風の女王」の名前が、また気になります
風の女王は36ホール通算で**+0.402(6位)**。これ自体はよく効いています。
ただ、2日目の風速は2.0〜2.3m/sで、風の日とは言えません。 それでも+0.261で機能しました。先週のゴルフ5レディスでも高難度コース女王について「名前は『難しいコースに強い』だが、測っているのは条件を問わない地力かもしれない」と書きましたが、風の女王にも同じ疑いが出ています。天候系の指標が、天候ではなく別の何かを測っている可能性。 シーズンオフの宿題として持ち帰ります。
⑥ 顔ぶれ
| 順位 | 選手 | 初日 | 2日目 | 通算 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 永井 花奈選手 | 66 | 70 | -8 |
| 2 | 吉澤 柚月選手 | 69 | 69 | -6 |
| 3 | 勝 みなみ選手 | 67 | 72 | -5 |
| 4T | ウー チャイェン選手・桑木 志帆選手 | -4 | ||
| 6T | サイ ペイイン選手・山下 美夢有選手・河本 結選手・髙木 優奈選手 | -3 | ||
| 10T | 堀 琴音選手・大出 瑞月選手・神谷 桃歌選手 | -2 |
永井花奈選手が66-70で単独首位。パーオン11/18で27パットでした。今季23試合でトップ10が10回、2位が4回、ミネベアミツミレディスで優勝しています。出場者内でサンドセーブ女王1番手・波乱率女王1番手・守り切り女王2番手。首位に立ってからの指標を持っている選手が、首位に立ちました。
(守り切り女王は「首位または上位で最終日を迎えた試合」が対象なので、そもそも母数が小さい指標です。今回の完走131名のうち、集計対象になるのは9名だけ。永井選手の「2番手」は、この9名の中での2番手という意味になります)
吉澤柚月選手は69-69で2位。2日とも急上昇女王2番手・アンダーパー女王2番手・初日好調女王4番手という持ち味どおりの安定感で、2日目はパーオン11/18・25パットでした。
髙木優奈選手(神奈川県出身・96期)は73-68で6位タイ。今季16試合で最高14位、トップ10は一度もありません。 2日目はパーオン11/18で24パット。この週が、自己最高の週になる可能性があります。
ウー チャイェン選手(台湾・95期)は70-70。出場者内でパーオン女王1番手という持ち味そのままに、2日目も14/18を捉えました。今季は富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで優勝しています。
12打縮めた人と、12打落とした人
| 選手 | 初日 | 2日目 | 差 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 笠 りつ子選手 | 80 | 68 | -12 | 予選通過(53位タイ) |
| 田村 萌来美選手 | 81 | 72 | -9 | 予選落ち |
| 全 美貞選手 | 77 | 69 | -8 | 予選通過(39位タイ) |
| 大須賀 望選手 | 70 | 82 | +12 | 予選落ち |
| サイ ペイイン選手 | 65 | 76 | +11 | 予選通過(6位タイ) |
笠りつ子選手(熊本県出身・78期)は初日80から12打縮めて、予選を通過しました。パーオン17/18はこの日の最多です。今季はVポイント×SMBCレディスで優勝しています。
大須賀望選手は逆に、初日70(24パット)から82へ。2日目はパーオン7/18で32パットでした。初日に「乗せて守るか、外して拾うか」の後者の代表として紹介した選手ですが、拾い続けるのは、やはり簡単ではありません。
サイ ペイイン選手は初日65から76。それでも通算-3の6位タイに残っています。
米ツアー組が、2日連続で際立ちました
| グループ | 人数 | 予選通過 | 1ラウンド平均 |
|---|---|---|---|
| 米ツアー主戦の選手 | 11名 | 9名(82%) | 72.64 |
| 昨年大洗トップ10 | 12名 | 6名(50%) | 74.38 |
| 完走者全体 | 131名 | 67名(51%) | 74.28 |
昨年トップ10組の通過率50%は、全体の51%とほぼ同じでした。会場が変わるこの大会で、前年の順位はあまり持ち越されない——展望記事で立てた見立てが、2日間を通じて同じ向きに出ています。
一方で米ツアー組は11名中9名が通過、1ラウンド平均も全体より1.6打良い数字でした。
⑦ 3日目の見どころ
3日目から、スタート時間の条件は揃います。
67名が23組に分かれ、全員が6:50〜8:51のあいだにスタートします。午前・午後の2ウェーブ制ではありません。①で見た0.83打の差は、ここから先はつきません。
最終組(8:51)は勝みなみ選手・吉澤柚月選手・永井花奈選手。その前の組(8:40)が河本結選手・ウー チャイェン選手・桑木志帆選手です。
見どころを3つ。
- 首位の永井花奈選手が守り切り女王2番手(対象9名中)。母数の小さい指標ですが、それを持つ選手が実際に首位に立ちました
- メルセデス・ランキング1位の桑木志帆選手が-4の4位タイ。優勝400ptsのメジャーで、2位の佐久間朱莉選手(+4・53位タイ)との差を広げられる位置にいます
- パーオンが2日連続で最強の指標でした。3日目も同じなら、パーオン女王出場者内1番手のウー チャイェン選手(-4)が上位に残る展開が自然です
引用・参照
- 2日目のスコア・順位・予選通過ライン・棄権情報はJLPGA公式「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会 フルリーダーボード(2日目)」(2026年9月11日取得、完走131名)
- ホール別対パー・パーオン率・バーディ数はJLPGA公式「ホールサマリ(1日目・2日目)」、選手別の飛距離・FWキープ・パーオン・パット数はJLPGA公式「スタッツ(1日目・2日目)」(いずれも同日取得)
- 午前/午後のウェーブ区分および3日目のスタート順はJLPGA公式「ペアリング(1日目・2日目・3日目)」に基づき、当サイトで分類
- 初日の風速・気温・降水量は気象庁「過去の気象データ検索」小松アメダス(石川県、prec_no=56/block_no=1324)2026年9月10日の毎正時値。2日目は気象庁アメダス実況(観測点コード56276)2026年9月11日の毎正時値(いずれも2026年9月11日取得)。会場の実測値ではなく、最寄り観測点の値です
- ①の「コースの日差」「スタート時間の差」は、2グループの前後差を足し引きして分離した当サイト編集部の試算です(2グループの変化を足して2で割ると日差、引いて2で割ると時間帯差になります)。2日間・131名の観測にもとづく値で、コースの恒常的な性質を示すものではありません
- 持ち味ランキングの番手・相関は当サイト編集部の集計(指標は2026年9月6日スナップショット、番手は出場者のうち当サイトDBに登録があり各指標の最低試合数を満たす選手内)。相関はピアソン相関で、正の値は「番手が上位ほどスコアが良い」ことを示します
- 各選手の今季成績・プロフィールは当サイトDB(JLPGA公式データに基づく)
- 米ツアーを主戦場にする11名の定義は展望記事と同一。昨年大洗トップ10の13名のうち阿部未悠選手は2日目に棄権のため、集計は12名で行っています
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